成人期のダウン症患者を診察するにあたっての勉強をしました。
はじめて知ったことや覚えておきたい事をまとめておこうと思います。
以下は学会で成人期健康管理指針(案)として取り上げられていたものと会長講演、その他愛知県心身障害者コロニー中央病院が出しているダウン症のある成人の健康管理を参考にまとめたものです。
・初診時 成育歴、既往歴の確認 成人後の再評価:一般的な健康診断、生活習慣病チェック 甲状腺機能検査、頚椎Xp検査、知能検査、眼科、耳鼻科、歯科、栄養指導 ・毎年の検査:一般健康診断(体重、身長、腹囲、心電図、胸部Xp含む) 甲状腺機能検査 歯科(齲歯予防、咬合状態、歯周疾患、IE予防)(3-4か月に1回) ・2-3年に1回は受診:眼科(近視、遠視、乱視。白内障の進行、円錐角膜), 耳鼻科(滲出性中耳炎、加齢に伴う難聴の進行、耳垢塞栓) ・40歳以降:認知機能検査(長谷川式、MMSE)、頭部MRI検査、脳波検査
※注意すること(成人期以降に多い合併症)
〈神経〉認知機能低下、成人期発祥のてんかん、アルツハイマー型認知症、もやもや病、脳アミロイドアンギオパチー
〈精神〉うつ状態、自閉スペクトラム症、強迫性障害
〈内分泌・代謝〉甲状腺機能異常症、高尿酸血症、高脂血症、肥満
〈循環器〉先天性心疾患の経過、(後天的)僧帽弁逸脱や大動脈弁閉鎖不全、心臓伝導障害、
動脈硬化性疾患は少ない
〈呼吸器〉SAS
〈消化器〉食道狭窄、十二指腸狭窄、GERD、便秘、食道裂孔ヘルニア、がん検診
〈泌尿器科〉精巣腫瘍、排尿障害
〈婦人科〉がん検診、早期閉経
〈整形外科〉環軸椎亜脱臼(有症状時)、扁平足、変形性頸腰椎症、変形性股関節・膝関節症、骨粗しょう症
〈皮膚科〉爪・皮膚白癬、脂漏性湿疹、膿皮症、ドライスキン、毛嚢炎、円形脱毛
※定期検査検体の検査項目
血液検査:血算、CRP、亜鉛、鉄、TP、Alb、肝機能(AST、ALT、LDH、ALP、γGTP)、電解質(Na、K、Cl、Ca、P)、尿酸、腎機能(BUN、Cre、シスタチンC、β2ミクログロブリン、eGFR)、甲状腺機能(TSH、FT3、FT4、マイクロゾーム抗体、サイログロブリン)、脂質
尿検査