保育園 医療的ケア

保育園に医療的ケア児が通うために

うちの長男は区の一般の保育園に通園している医療的ケア児です。

地域では第一号で、医療的ケアを必要としてからおよそ1年8か月たってやっと入園できました。そのほかの地域でも年単位で交渉しての入園を果たしているとも聞きます。

以前、長男がどのようにして入園となったかの経緯を書きました→医療的ケア児、保育園に入園しました。

通い始める前後や今現在息子が安全に保育園に通うためにどのような事をしているのかを書きたいと思います。医療的ケア児の受け入れを検討されている保育園関係者に読んでいただきたいなと思って書いています。

息子(医療的ケア児+ダウン症)
  • 気管切開をしています。
  • 人工呼吸器は夜間のみの使用であり、日中・お昼寝も含めて持ち歩く必要はありません。
  • 酸素は調子の悪い時のみの使用なので、持ち歩きません。
  • 適宜、吸入・吸引が必要です。
  • カニューレが抜けた場合は秒単位ではありませんが分単位で再挿入が必要です。
  • 独歩可能ですが、長距離歩行は難しいです。
  • 食事は経口摂取ですが、刻み食程度で、飲水はコップが難しくストローボトルを使っています。
  • 発語はなし、おむつはとれていません。

また、本来の目的とは違うかもしれませんが、我が家としては親の就労が一番の目的ではなく、早期の療育や同世代の子とのかかわりを目的に保育園入園を希望しました。(つまり、入園しても我が家の環境ではい就労はかなり難しいです。私はフレックスおよび在宅ワークを併用しています)

まずは看護師さんの配置です。園にもともと一人看護師さんが常駐している園ですが、息子のために看護師さんの加配を付けてもらっています。日によって担当が変わるのではなく、基本的にその看護師さんが息子の担当になります。ただし、非常勤であり数か月単位で人は変わっています。

一日の流れです。

朝の登園は9時半です。移動はベビーカーに乗って人工鼻で登園しています。すべての医療物品を持参し、看護師さんと機器の点検と朝のバイタルチェックをします。息子用のワゴンに医療物品をすべて配置し、親は帰宅します。上靴に履き替えますが、上靴もインソールを入れた息子用のものです。

その後、スピーチバルブに変更し、気管切開部の目隠し用のスタイを付けて朝の会から参加です。

公園に出かけるときは、看護師さんも必ず一緒についていきます。医療物品は息子のベビーカーに載せていっています。体操教室は同じ部屋で別メニューです。

昼食前に生食で吸入→吸引をしています。生理食塩水ですので吸入は医療行為にはならないようです。

昼食。昼食は同じ部屋ですが、みんなと並んでではなく角で看護師さんが介助で食べさせてくれています。他の子たちは感染予防の観点から前半と後半に分けて食事をしていますが、息子は食事に時間がかかるので前半も後半もずっと食べているようです。飲水は持参のストローボトルに園でお茶を入れてくれています。

食後、歯磨きをします。そしてトイレとお着替えです。

当初は吸引→吸入→昼食は別室でした。

その後人工鼻に変更し、お昼寝です。寝た後、SpO2モニターを装着します。入口近くに息子の医療機器用のワゴンを配置し息子は入口の一番近くの場所がお昼寝の場所です。

起きたら、吸入→吸引をしておやつを食べます。

15時半、お迎えに行き帰宅です。

医療物品の点検をもう一度して、医療機器はすべて持ち帰ります。

その他も適宜吸引をしてもらっています。医療ケアと食事介助はすべて看護師さんですが、公園のお散歩の時手をつないだり着替えさせたりなどは保育士さんです。

食事は食育も担当している給食の栄養士さんが息子の食べ具合と保育所等訪問支援の看護師さんと相談しつつ提供してくれています。

これを週3回です。他の2日は児童発達支援に通っています。児童発達支援は療育的な意味合いも多少はありますが、基本的には安全に預かってもらうという意味で預けています。

週に1回くらいは療育のために早退しています。

母が約2か月付き添い保育をしました。

園医が息子の気管切開カニューレに関して、保育園のスタッフに模型を用いて説明会をしてくれました。再挿入は園では行わないことになっていますが(緊急時に行く救急病院が目の前なので)

指示書の内容に関しては細かく何度も主治医とかかりつけ医と相談の上指示書を出してもらっています。緊急時は園から徒歩5分くらいの主治医の病院にすぐ連れていく&何かあった場合にすぐわかるように小児科受付でも把握してもらっています。園長先生と看護師さんと保育所等訪問支援のスタッフと私で主治医受診をして緊急時対応を検討しました。

保育所等訪問支援を我が家に日常的に来てもらっている訪問看護事業所から看護師さん週1で訪問してもらい、看護師さんの手技などをチェックしてもらっています・

保護者会で他の保護者に、母からと保育士さんから医療的ケアに関して説明しました。

持ち物

  • 他の子と同じ着替え、上靴など以外に
  • 主治医病院の診察券+保険証+医療証のコピー
  • ベビーカー
  • ポータブル吸引器(ACアダプター+電池)、使い捨て手袋、酒精綿、バックバルブマスク、吸引カニューレ3本程度、気管カニューレ(常用サイズと緊急用の細いもの、ジェル)、ベビーミスト、水ボトル、アルコールスプレー
  • SpO2モニター(プローベ予備)
  • 吸入器(ACアダプター+バッテリー)、生理食塩水
  • 目隠し用のスタイ
  • 歯磨きセット
  • ストローボトル 2本

コロナ渦に関して

コロナだけでなく流行性感染症が園で出た場合はその日の朝でも電話を頂きお休みすることにしています。

こんな感じでかなり保育園には配慮していただいた上での「みんなと一緒」の保育です。

とてもとても保育園の園長先生には感謝しています。

さらにいうと我が地域で他の医療的ケア児も2人今年度より入園するようです。敷居が下がってきたのかなと思ってうれしく思っています。

また私の印象としては保育園の受け入れとしては

①胃瘻②経鼻経管チューブ③持続酸素投与④気管切開④ポンプ⑤人工呼吸器

の順でおそらく難易度が高いと考えられているようです。

また何か参考になる事があり、就園に関して質問や相談があればコメントで連絡いただければと思います。

  • この記事を書いた人

おkら

呼吸器内科医。産後育休を取らずに仕事復帰したものの1歳を過ぎたころダウン症の息子に在宅人工呼吸器が必要になり保育園退園→介護休業→介護休業使い切り退職→研究職。いつか臨床に復帰したい。今の目標は息子に色々な経験をさせること。

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