息子はシナジスの恩恵を受けています。
2019年は東京では8月からのシナジス摂取開始であったのに、7月31日にRSウイルス感染症で搬送された息子です。
なのでシナジス注射はとても重視しています。2020年度は7月から接種開始でしたので第1週目に打ってもらいました。
RSウイルスは乳幼児に呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。他の風邪を引き起こす数あるウイルスと比較し、呼吸器症状が強く出ることがあり、特に早産児や呼吸器疾患・心疾患のある乳幼児、ダウン症の乳幼児で重篤化することが多いです。ダウン症である息子は1歳7か月の時にRSウイルスに感染しリザーバーマスク8Lで酸素投与が必要なほど呼吸不全が進行し挿管寸前のところまで重症化し、結局PICUに1か月ほど入院を要しました。
RSウイルスは有効な治療薬がないため、重篤化しないよう予防することが大切です。
シナジスは一般名をパリビズマブというモノクローナル抗体」です。ほかの予防接種と違い、シナジスは抗体薬です。一般的な予防接種というのはウイルスに似せたものやウイルスの一部を体内に入れ、数日から数週間かけ身体の中で免疫反応を起こさせ、あらかじめその病原体に対する抗体を作って備えておくというものです。このシナジスは体内に直接抗体入れて備えます、自己免疫の反応を待つ期間が必要ない(理論上すぐに予防効果を発揮する)、さらに消耗されると体内で生産されているわけではないので再投与が必要なのです。
また抗体薬ですのでめちゃくちゃ薬価が高い!!!
118064.0円 (100mg1mL1瓶)
59912.0円(50㎎0.5mL1瓶)
※参考までにMRワクチンの薬価は1回分5005円、BCGの薬価は1回分3150円です。
パリビズマブとして体重1kgあたり15mgをRSウイルス流行期を通して月1回筋肉内に投与します。子供は大腿外側からの投与が多いです。
なお、注射量が1mLを超える場合には分割して投与します
1回投与液量(mL)=体重(kg)×15mg/kg÷100mg/mL
9.4㎏の息子ですと1.4mlになり118064+59912×0.4/0.5=165993.6円/回です。そして体重は変動するので参考値ですがこれが2020年7月から2021年2月の月1回計8回ですので1327948.8円かかることになります。自動車が買えそうですね。
投稿開始時に条件が当てはまっていればシーズン中に生後24か月を超えても健康保険は適用されます。うちの子は2020年12月に2歳(生後24か月)を迎えましたが2021年の2月まで投与を継続しました。
本当はすべての乳幼児に接種されればいいなと思いますし、2歳までじゃなくもう少しとも思いますが医療費と医療機関がパンクしますね。
シナジスが対象になるのは
- 早産児 28週以下の早産児でシナジス接種可能開始時期に月齢が12か月以下、29-35週の早産児で月齢が6か月以下
- 慢性肺疾患を持つ子供 シナジス接種可能開始時期に月齢24か月以下
- 先天性心疾患を持つ子供 シナジス接種可能開始時期に月齢24か月以下で血行動態に異常あり
- 免疫不全をともなう子供 シナジス接種可能開始時期に月齢24か月以下
- ダウン症候群の子供 シナジス接種可能開始時期に月齢24か月以下
そして投与回数は1シーズンといっても今はほとんど夏から冬にかけてずっとですが連続で月1回の投与でありそのスタートできる時期は地域によって違うということです。
つまり7月から投与開始できる地域もあればもっと遅い地域もあります。
そしてシナジス投与期間中にRSウイルス感染症にかかっても感染症の回復後は再度投与開始します。他の理由で入院している場合基本的にRSウイルスは外界で感染すると考えるので入院中は投与せず(DPCの関係もあると思いますが)退院直前に投与ということが多いようです。
今回のシーズンで息子はシナジスは卒業です。場合によっては3歳以降も投与することがあるとも聞きましたが本当に次感染を起こしたら命の危険がなどという場合でしょう。筋肉注射は皮下注射よりも合併症が少ないといわれますが、瞬間的な痛みは筋肉注射のほうが強いのかなと思います。最近使用されるようになったエムラクリーム(外用局所麻酔剤)も表皮の浸潤麻酔ですのであまり効果ないようですし、毎月1回2か所に筋肉注射をした息子は本当に頑張ったなと思っています。
The IMpact-RSV Study Group. ; Palivizumab, a humanized respiratory syncytial virus monoclonal antibody, reduces hospitalization from respiratory syncytial virus infection in high-risk infants. ; Pediatrics, September 1998;102:p.531-7.