医療的ケア児息子、認可保育園に通う事になりました。しかしやっぱり普通のことはちがうことがたくさんありました。トラブルもありました。医療的ケアが必要になる前は普通に保育園に通っていたのでその時と比較しながら紹介します。
さて、保育園入園申し込み可能の返事をもらい申請したところ、なんと待機になることなくすぐに入園の内定をいただきました(これはたまたま引っ越しする子がいたことによる偶然です)そこから面談をし、調整を開始しました。そして実際通う事になって知った違いです。
①慣らし保育の期間が長い
一般に半月くらいかなと思うのですが、息子は約2か月間でした。生後2か月で医療ケアがない時の慣らし保育は1週間でした。
②慣らし保育に母同伴が必要
ちなみにもちろん保育料は満額です。ずっと付き添っているので他の園児とも仲良くなり私は楽しかったですが、仕事は大打撃でした。
③保育園なのに通園は最大でも週3回9時半から15時半
これでは一般の方のフルタイム就労は難しいかと思います。私は在宅ワーク+休日も含めたフレックスタイム勤務を併用可能です。さらにもともと週2であずかりの発達支援に通っていて何とかなりました。保育園なのに週5で8時半から17時半までのお預かりは不可との事でした。もちろんそれでも保育料は満額です(しつこい)
預かり型の発達支援と訪問看護や移動支援、レスパイトなどを併用するそして仕事を減らすしかないかと思います。(これをなくそうというのが2021年9月18日に施行された医療的ケア児支援法案だと思うのですが、まだまだこれからですね)
④指示書の修正依頼がある
発達支援などでも医師の指示書を提出しますが、今まで何か修正を依頼されたことはありませんでした。ですが、園は区の管轄ということで、かなり行政や園医から修正を依頼されました。これは医師としても納得のいってないことです。結局息子の往診医・外来主治医・病棟主治医・保育所等訪問支援のスタッフ(看護師)・区役所職員・園医・保育園看護師で話し合いを持つことになりました。具体的には気管切開チューブが逸脱した際に園で入れるかどうかという点です。
⑤保育所等訪問支援の利用
これは発達障害などがあればだれでも利用できる制度です。保育園や学校にそこでの生活がうまくいっているかを定期的に発達支援センターのスタッフなどが巡回に行ってくれる制度でこの制度を我が家は看護師さんがやっている事業所に依頼しました。(本当はダウン症というだけで利用できるので以前の保育園でも利用できたはずですが、なんと医療ケアが必要になるまではこの制度知りませんでした)この看護師さんがいろいろなトラブルの時の仲介になってくれて本当に助かりました。今までの発達支援や療育に関しては障害福祉課の管轄で医療ケアコーディネーターさんが一元化して管理してくれていたのですが、保育園に関しては保育課が担当であり、医療ケアコーディネーターさんがかかわりにくいところなので、この制度は導入時だけでも利用することをお勧めします。
⑥保育園看護師の出勤が不安定
たまたま保育園看護師が産休に入られたことなどから入園して慣らし保育も終わったけれど通園できない期間というのができてしまいました。これはたまたまではありますが、今後も体調不良等で看護師が出勤できないという事はいつでもあり得ることと思います。保育士であれば補充ができるのに看護師はより人材不足なのでしょう。大阪府豊中市では市立豊中病院から小学校に看護師が派遣される(ある決まった個人でなくシフト制であり私立豊中病院勤務と併任と聞いています)というシステムが導入されました。長期休暇などにおける勤務も安定しますし、困った事態が起こっても一人で抱え込む必要がありません。このような一人の個人に依存しないシステムづくりが必要と感じています。このシステムのため豊中市では医療的ケア児の入学できる学校の選択肢あるのもメリットです。(たとえば我が区では1校限定で、肢体不全の子たち対象の学校でもあるので、歩ける息子ですがバギーを作ってそのうえで一日を過ごさないといけなくなるのかもしれません。入学時そのような状況になれば豊中市に引っ越しします。)
④と⑥はいまだ解決していない事態ですが、ともかくこんなことを調整しながら保育園通い始めています。現場は本当に暖かく、「周りの子と同じように過ごさせたい、同じ世代からの刺激を受けてほしい」という親の希望をとても尊重した保育をしてくれます。現状、医療的ケア児支援法案の施行がされましたが、現場の好意で成り立っているという状況に変化はみられません。今まではその好意すらも行政がトラブルのもとと禁止していたのがしぶしぶ認めざるを得なくなった、というような状況に感じています。何とか現場の努力と好意だけでなく、きちんと安定した制度とその提供が実現することは「あたりまえ」であるように変わっていってほしいと思い、私もほんの少しでしかないですがその役に立てればなと思っています。