療育・リハビリ 作業療法(OT) 育児

集中して遊ぶ・落ち着いて話を聞く【自宅で感覚統合】

感覚統合って知っていますか?
私は最近まで知りませんでした。

感覚には五感といって視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚があります(鬼滅の刃の主人公の同期たちの特化している感覚ですね)
その他に固有覚と前庭感覚が存在します。
固有覚は身体の動きをコントロールし、筋肉の収縮や関節の曲げ伸ばしを調節する感覚。
前庭覚は身体のバランスをとり、体をまっすぐに保つために必要で、スピード感を感じる感覚。平衡感覚とも言う。

感覚統合とは作業療法の分野で出てきた言葉で『生活の中で、さまざまな感覚器官を築地、絶えず身体に入ってくる複数の感覚を正しく分類・整理し、取り入れる脳の機能』のことです。

感覚統合がなされていないと
外からの刺激(感覚)を上手に受け取ることができないため、極端に過敏または鈍感になる
自分の身体の感覚(バランス・傾き・力加減など)を感じることが難しく、ぎこちない動きになる
じぶんの身体の大きさや手足の位置などが把握できない
大事な事とそうでないことの区別がつかずすべて同じレベルで見えたり聞こえたりする

→実生活では
姿勢が整わず、落ち着きがなく集中しずらい
不器用で動作が乱暴になる
転ぶ
人の話が聞けない=人とのかかわりが苦手
道具(スプーン・ハサミ・筆記具など)が使えない
(総じて着ぐるみを着たまま生活しているような感覚である)

というようなトラブルを起こしやすい状態であるということです。
ただし、感覚がないわけではなく『感覚に偏りがある』わけですので、それを整える『感覚統合療法』というのが上記トラブルを抱えている人たちに対してのアプローチとして確立されてきたわけです。

全部の感覚を統合すればいいというわけでもなく、特に感覚統合療法では固有覚・前庭覚・触覚をメインに(合わせて視覚聴覚も)整えることで姿勢を整え・集中力を付け対人関係を築き、他に比べて自分ができないという意識が芽生え自己肯定感が低下することを、防ぐというトレーニングです。

息子は自閉症スペクトラムではないのですが発達障害はあります。またダウン症特有の筋力の弱さがあり、姿勢の保持が簡単にはできません。また持続性もありませんでした(最近は結構あると思います、吸入の間10-15分くらいなら一人で座っています)。

しかし、うちの息子も感覚統合を目的とした療育に通おうかと思っていた時もあるのですが、何せ気管切開がされていることや人工呼吸器を持ち歩かないといけないこともあり通所は断念しました。(見学に行ったところはオフィスの2階でエレベーターがなくベビーカーも雨が降ったら雨ざらしになるところにしか置いておけなかったのです)

そんなわけで
自宅でできる感覚統合療法!!!!
(なかなかネットではおかしなことが書いてあってカオスでしたので色々調べました)

【前庭刺激】
 バランスボール
 ①バランスボールの上に座らせ、大人が骨盤を支えます。そのまま上下に揺らします。できれば子供にばんざいさせます。
 ②バランスボールの上に腹ばいで乗せてます。大人は太ももをしっかり保持し子供は手を前に突き出し床につくくらいまで前にボールを転がします(ほぼ倒立みたいになります)
 バランスボールはできるだけ鏡の前で本人が自分の動作を見れるようにして行っています。
③少し離れた位置で向かいあって転がしあいます。

 ブランコに乗る
 一人では乗れませんので公園でママのお膝で一緒にブランコに乗っています。
 
 滑り台をすべる
 一般的な滑り台は難しいですがローラー滑り台だと傾斜が緩いためか滑れます。初心者向き。

 タオルでスイング
 大人が二人いるときに、大きい丈夫なバスタオルに子供を仰向けに寝かせ、両端を大人が二人で持ち上げ左右に振る。
 うちの息子はめちゃくちゃ喜びますがそろそろバスタオルの耐久性的に卒業です。
 
【姿勢保持】
 アンパンマンビジーカー
 STEP1(押し棒・ガード・ステップ)の形態で近所をぐるぐるしています。体の周りにサポートがあるのでかなりアクロバットに動いても落ちません。
 
 ロディ
 ロディに付属のスピーディーローラーを付けてその上にのせて大人が引っ張ったり押したりしています。子供ははロディの耳につかまります。 

【身体図式の育成を図る】
 ボールプールにはいる
 入るだけでいいとの事です。
 息子は療育センターに行ったとき積極的に利用させてもらっています。顔だけ出して全身を埋めて遊んでいます。

 段ボールハウスの中に入って遊ぶ
 自分で作りました。大き目の段ボール(ちょうど子供が一人ぎりぎり入れるくらい)に屋根・煙突・扉・窓を付けました。そのほか4個ほど穴をあけてラップの芯やボールを入れたり出したり。のぞいたりしています。
 
【運動企画能力の育成】
 机の下をハイハイ
 トンネルくぐりの代わりです。我が家はトンネルを置くスペースはありません笑。

【触覚】
 感覚遊び
 なんでも触らせます。マジックテープ、ジェルボール、スライム、スクイージング(ほぼすべて100均です)。普段食べる野菜、ガムテープ、タオル、水、氷。 特に息子は嫌がらないのですが、ひとつだけ気を付けているのは必ずママが先に遊ぶ(触る)ことです。初見のものに対して息子はやや及び腰ですが、ママが先に一通り遊ぶとそのあとはおびえず触れるようです。

 手遊び歌
 歌絵本に合わせてママと手遊び歌をしています。きらきら星・大きな栗の木の下でなど。

他にも息子はまだできませんが
〇風船やビニールボールを二人で片手で押し合いながら移動する
〇大きなスプーンにボールを載せて運ぶ(運動会の競技でたまにありますよね)
もいいようですよ~

我が家ではあえて『統合療育するぞ!!』と思ってするわけではなく、なんとなく遊ぶときにこういうこともやるよってだけです。ただ、バランスボールだけはそのあと30分後に昼寝をさせたい、疲れさせよーっていう時です笑。

  • この記事を書いた人

おkら

呼吸器内科医。産後育休を取らずに仕事復帰したものの1歳を過ぎたころダウン症の息子に在宅人工呼吸器が必要になり保育園退園→介護休業→介護休業使い切り退職→研究職。いつか臨床に復帰したい。今の目標は息子に色々な経験をさせること。

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