医療的ケア

DNAR

DNRってご存知ですか? ちょっと直接的な表現も出てきますので、苦手な方は避けてください。

do not resucitationの略です。直訳すると蘇生を行わない。

最近はDNAR:do not attempt resuscitationと言って“試み“ないが入ったものを使うことが多いです。

蘇生しないと言う部分がかなりシビアに聞こえますが、

正式には『DNRとは尊厳死の概念に通じるもので、癌の末期、老衰、救命の可能性がない患者などで、本人または家族の希望で心肺蘇生を行わないこと』です。

私が患者さんに説明する時に言う言い方は

『(真剣に)心肺蘇生をすると肋骨が折れます。呼吸を強制されます。やっても助からない場合に心肺蘇生をすると無用にお体を傷つけることになります。(できれば死に行く人を苦しませたくない)』といった言い方が多いです。もちろん患者さんの状態によります。助けられるものはこちらが死ぬ気で助けます。たくさんの患者さんを看取ってきていますが、肋骨左右合わせて12本全部折れて助けられた人もいます。

私は癌末期の患者さんまたは誤嚥性肺炎を繰り返している患者さんにお話しすることが多いです。私は普段、終末期は辛い思いをして病気と闘わない方がいいんじゃないかと勧めます。どちらがいいのかは、人それぞれの死生観なのでわかりません。人それぞれの死生観であると言うことも必ず言っています。

さてそんなDNRですが、つい先日、息子の急変時はどうしますか?と確認されました。

あの、もちろんDNRの希望はないですよね、と言うようなニュアンスの聞き方でした。

小児にそんなことを聞くなんて、衝撃でした。けれど、そこは療育センターで、きっと入院の可能性のある全患者に確認することになっているんだと思います。小児でも、末期の患者もいるし、急変した場合助けられない患者もここには日常的にいるんだと痛感しました。親も、本人も、医療者も大変だし、大変頑張っておられるんだなと実感しました。こどもが死ぬことに耐えられず小児科医を諦めたわたしには衝撃的でした。

ちょっと衝撃的だったので本当に衝撃的であったと言うことだけ言いたくてここに書いてみました。

  • この記事を書いた人

おkら

呼吸器内科医。産後育休を取らずに仕事復帰したものの1歳を過ぎたころダウン症の息子に在宅人工呼吸器が必要になり保育園退園→介護休業→介護休業使い切り退職→研究職。いつか臨床に復帰したい。今の目標は息子に色々な経験をさせること。

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