うちの子はよく吃逆(しゃっくり)が起こります。
まず吃逆(しゃっくり)とは横隔膜が不随意の攣縮を繰り返したのち、声門が突然閉鎖し、それにより空気の流入が阻止されて特徴的な音が発生する現象である。
持続時間で3つに分類される。
吃逆発作:48時間以内、持続性吃逆:48時間から1ヶ月未満、難治性吃逆:1ヶ月以上
持続性と難治性で有れば隠れた疾患を持っている可能性があり、原因検索が必要である。
吃逆の経路は
横隔膜の刺激→求心路(横隔神経、迷走神経、交感神経)→中枢神経系(延髄、脳幹網様体、横隔膜神経核、視床下部)→遠心路(横隔神経)→声門、呼吸筋
となっています。(何これ、あんまりよくわかりませんね。。。。)これのどこかが障害されると吃逆が発生します。生理的な意義は不明です。(他の動物にもあるんでしょうか???)
乳児では横隔膜の痙攣がほとんどです。乳児期は特に脳神経の発達が十分でなく、横隔膜を支配している横隔神経の調節がうまくいないためと考えます。(簡単にいうと横隔膜が刺激を受けやすいと言うことです)
で、横隔膜の刺激の原因としては左横隔膜の下には胃が接しています。ミルクを飲んだり食事を取ったりして胃が膨らむと横隔膜に接する面積が増えて刺激になる、と言うことです。これがほとんどです。ゲップをさせるなどで改善することもあります。そのほかには下半身が冷えてブルッと震える時に横隔膜が刺激されることがあります。これは下半身を温めてあげるといいでしょう。
しかし一部、持続性や難治性では経路の横隔膜以外の障害で起こっていることがあります。小児ですとてんかんが多いようで、その他脳炎・脳腫瘍なども報告があります。横隔膜の障害では他に腸炎や腸閉塞(腸重積など)があるようです。
吃逆だけでは一概には言えないですが、持続するようならば検査が必要かもしれません。わたしは成人ですが持続性吃逆で横隔膜へ腫瘍の直接浸潤を認めた肺がんの患者さんにあったことがあります。癌性髄膜炎の末期の方で吃逆症状のあった方もいます。その他、薬物でも起こりますが、有名なものとしてシスプラチン(腸クロム親和性細胞を活性化することでセロトニンを放出し、遠心性の迷走神経を介して吃逆中枢を刺激する、用量と吃逆発現に正の相関があり特に70mg/m2以上では発現リスクが増加する)という抗癌剤やデキサメサゾン(高容量のデキサメサゾンは血液脳関門を通過して視床下部海馬のステロイド受容体を活性化して吃逆の遠心路を刺激する)というステロイド剤でも起こります。
子供の場合、ほとんどの場合が腹満です。ですが他にも原因がある可能性があるので持続性・難治性で有れば病院へ行ったほうがいいです。
ちなみに、成人で有れば治療薬としてクロルプロマジン(コントミン)やメトクロプラミドや柿のへたの煎じ薬(なんじゃこりゃと思われそうですが本当にあるんです。医薬品用の柿のへたを病院で煎じているんです)などありますが、子どもに気軽に使う薬ではないので。。。