医療的ケア

CPAPまたは気管切開

これは本当に息子にだけしか当てはまらない状況なので気管軟化症の方でも参考にならない部分が多いと思います。

結論としては気管切開、人工呼吸器にしました。医学的だけでない、親的観点も書きます。

ちなみにCPAPはNPPV(non-invasive positive pressure ventilation)と置き換えても大丈夫です。正しく言うとNPPVなのかIPPV(intermittent positive pressureventilation)かが問題でCPAPというのは換気のモード(換気してないですが)でhigh PEEP療法と同じようなニュアンスです。Sモード、Tモード、S/Tモード、CPAPモードの設定ができるのがNPPV用の機械です。IPPVはもっと細かな設定があるので割愛します。

IPPVは直接気管に管が入って換気する方法ですが、経口気管内挿管というのは基本的に長期には行うことができません。感染のリスクや気道粘膜の潰瘍及びケアが高度になるなどの理由により2週間以上挿管状態になる場合は気管切開をし、そこにカニューレを入れて人工呼吸器に接続します。どちらもIPPVです。時間の制限及び、食事・風呂・移動などの要素から在宅に移行する場合は気管切開とカニューレのパターンになります。

NPPVはマスクを用いて口・鼻を漏れがないように覆い圧をかけて換気する方法で、つけたり外したりができます。

CPAPはモードなんですが、NPPVというと換気になってしまいちょっと不正確なところもあり、CPAPと気管切開で比較としました。

CPAP

メリット

気管切開をしなくていい。カニュレ交換・ガーゼ交換なし。創部感染もなし。CPAPつけてない時は何もなし。

デメリット

装着が難しい。骨格の変形・皮膚のトラブル。対応出来る医師が挿管管理に比べると少ない。(東京は大丈夫)、やや圧が弱い。ずれる。食事の時は外さないとだめ。

気管切開

メリット

圧がしっかり。圧をかけながらの食事ができる。痰が直接気管から引ける。

デメリット

気管切開手術が必要。体に穴があく。デバイスが体につく。お風呂に入りづらい。クラリス飲み続けなきゃいけない。風邪ひいてない時でも痰を引かなきゃいけない。

2点の理由でおけには気管切開を選びました。

①安全性 圧がかけられない時になんらかの要素(泣いたり)で気管が完全に閉塞してしまいそのまま呼吸ができないことをdying spellと言うのですが、それのリスクが高い状態でした。どんな時でも必ず圧がしっかりかけられるのは気管切開の方です

②喉頭軟化症の合併 実は気管軟化症に比べると大したことないないのです上げ喉頭軟化症も合併していました、これ単独では特に問題ではないのですが、ダウン症特有の舌が大きいのと、アデノイド・扁桃も肥大していて(これは風邪を引きすぎたのでしょうか)その為上気道が閉塞仕掛けていました。その為口や鼻から圧をかけるCPAPをするのであれば扁桃摘出・アデノイド摘出が先に必要であり、やっぱり手術が必要であると言うこと。その手術で全身麻酔の際には気管挿管を実施し、その後気管軟化症があるから抜管出来ず結局気管切開になる可能性が普通よりかなり高いこと。

と、こんな理由で気管切開を行うことにしました。当初、気管支鏡検査はわたししか見ておらず、夫は気管切開は避けたいと言っていましたが、後々治療方針の決定のための話の時に気管支鏡検査の動画を見せてもらい納得していました。わたしとしては医師からの話の前から気管切開しかないと思っていました。dying spellが何より怖いからです。2週間くらいはパパママで相談してしてねと言われましたが、翌日には決めました。

おけには手術前日にママが言いました。手術前日には首にいっぱいチューしました。ママは術後半年くらいまでは創部を見るのがかなり胸が痛かったですが今はかなり大丈夫です。後数年で抜管できるようになるはずです。きっと大きくなったおけは気管切開をしていたことを忘れていると思います。でも、あなたはこうやって頑張っていたんだよと将来伝えたいなと思います。

と、言うわけで気管切開するかCPAPで頑張るか悩んでいる方に役にたてばいいなと思って書きました。

  • この記事を書いた人

おkら

呼吸器内科医。産後育休を取らずに仕事復帰したものの1歳を過ぎたころダウン症の息子に在宅人工呼吸器が必要になり保育園退園→介護休業→介護休業使い切り退職→研究職。いつか臨床に復帰したい。今の目標は息子に色々な経験をさせること。

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