2020年11月1日(日)に第2回ダウン症学会学術集会がありました。テーマは『ダウン症研究と移行医療』です。
コロナ渦の影響でオンデマンド開催でした。
①乳幼児口腔分科会
②移行医療分科会
③基礎分科会
④学齢期分科会
の4つのセッションがありました。
興味があった①②を聴講いたしました。口腔ケアは息子の主治医も言うようにトピックなようです。はじめて知ったことや覚えておきたい事をまとめておこうと思います。3人の先生のお話を聞けました。
大阪大学 村上旬平先生
ダウン症児は免疫力が低い(細菌感染に弱い)、口腔の解剖学的にケアが行いにくい、知的の遅れなどにより歯磨きの自立が遅いの3点から特に口腔ケアに配慮が必要である。
口腔ケアを行う事はスペシャルニーズのある人で避けられる病気を避けると言うケーパビリティアプローチに則ったものである。
口腔細菌は一般的にデンタルプラーク(歯垢)には100000000000個/g存在し、唾液には100000000−1000000000個/ml存在すると言われている。
約500種類と言われている。普通、高校生ごろと言われている歯周病菌の定着がダウン症では幼少期から起こりやすい。
歯は最大で28本であるが全部生えてこない事が多い。
虫歯に関してはダウン症で多いとも少ないとも報告あり。
歯周病は歯根が短い、免疫力が低い、感染による組織破壊への修復が遅い、歯周組織の脆弱性、歯周病菌の早期定着、乾燥による唾液の自浄作用の低下、歯列不正により磨きにくいなどダウン症の様々な要素が歯周病のリスクである=歯周病になりやすい。
予防することが大切。肺炎や細菌性心内膜炎など感染症だけでなく、糖尿病、動脈硬化、メタボリックシンドローム、認知症の予防に繋がる。
歯磨きや食事など日常生活の中で繰り返し一過性の菌血症が起こるため、口腔内の悪性細菌は減らしておくことが大切である。
残渣や胃酸、酸性飲料水などをブーストとして細菌と糖で酸を酸性し虫歯へと繋がる。注意することとして、食具の使い回しや唾液を介するような濃厚接触は避ける。1日最低でも歯磨きをする。はが生えはじめたら一度プロフェッショナルなケアを受けるために歯科受診をする。以後1-6ヶ月ごとにセルフケアと併行してプロのケアを受ける。その際にフッ素で耐酸性強化を行う(賛否あり)。
理想は歯磨きとぶくぶくうがいである。しかしぶくぶくうがいは筋緊張の低下から獲得が難しかったり年長になってから獲得する傾向があるため、水やお茶を飲ませて糖を洗い流しうがいの代わりにする。模倣が可能な段階となればまず親がやってみせて、水を口に入れて出す所から始める。
その他、口腔ケアは肺炎とインフルエンザの予防に繋がると言うエビデンスがある。
ということでした。心疾患でなんらかの人工物が入っている場合や誤嚥のリスクのある場合は特に注意した方がいいなと思いました。
またスペシャルニーズのある患者として近所の歯科で断られる場合、学会が提案した、推奨している歯科のリストがあり参考にする。
息子は到底うがいはできないのでスワブ→歯ブラシ→スワブです。正しく言うとその前に歯磨きの絵本も読んでいます笑